【最終更新日:2024年3月26日】
通信制大学への入学をお考えの方の中には「通信制大学の難易度について知りたい!」という方もいらっしゃるでしょう。
2024年現在、全国には43の通信制大学があって、難易度(単位修得が易しい or 難しい)は各大学によって大きく異なっています。
そこで今回は、通信制大学の難易度を徹底的に検証したいと思います!
通信制大学の難易度について
どの通信制大学で学ぼうとも、難易度の高い科目や低い科目があります。
1日でレポート作成が済んでしまう科目もあれば、テキストを読み終えるだけで1ヶ月もかかってしまう科目もあります。
科目によって難易度が違ううえに学生によって履修する科目は異なりますから、単位修得の難易度の平均値を求めることは難しいと言えます。
ですが、厳然たる事実として、「難易度が高い(単位修得が難しい)通信制大学」と「難易度が低い(単位修得が易しい)通信制大学」は存在します。
次項からは「難易度が高い(単位修得が難しい)通信制大学」と「難易度が低い(単位修得が易しい)通信制大学」の違いについて詳しく見ていきます。
難易度が高い(単位修得が難しい)通信制大学
通信制大学に詳しい方の間では、慶應義塾大学、法政大学、中央大学は「難易度が高い(単位修得が難しい)」と言われています。
どのあたりが「難易度が高い(単位修得が難しい)」のか、詳しく見ていきたいと思います。
慶應義塾大学 通信教育課程
難易度が高い(単位修得が難しい)通信制大学の筆頭に挙げられるのが、慶應義塾大学 通信教育課程です。
ある予備校教師は「慶應義塾大学の通信教育課程は、数ある大学の通信教育課程でも、最も卒業の難易度が高い学校のひとつです。慶應に通学し単位を取るより難しいと言われています。」と述べています。
慶應義塾大学 通信教育課程から正式発表されてはいませんが、卒業率は数%と言われています。
「何故そんなに難易度が高いのか?」という疑問は単位修得方法を見れば分かります。
まず、履修科目の約7割を占める「通信授業」(テキスト履修科目)ですが、課題レポートは4,000文字である場合が多いようです。
※ 課題レポートは1単位科目は2,000字以内、2単位以上の科目では4,000字以内で作成します(ワープロ作成不可の科目もあり)。
しかも、1本のレポートをまとめるのに大学から配布されるテキストだけでは情報が足りないので、関係書籍が2冊~5冊程度必要なようです。
苦労して書き上げた課題レポートで合格点を取っても、科目試験に合格しなければ「通信授業」(テキスト履修科目)の単位は修得できません。
その科目試験は、「Aの役割について説明せよ」「Bの今日的意義について論ぜよ」といった論述式問題が課されます。
これだけでも大変さが伝わってきますが、慶應義塾大学 通信教育課程は卒業論文が必修です。
ご存じのように(?)卒業論文は、卒業の最大の障壁となる科目です。
➡ 慶應義塾大学 通信教育課程についてさらに詳しく知りたい方はこちら
法政大学 通信教育部
法政大学 通信教育部も難易度が高い(単位修得が難しい)通信制大学と言われています。
履修科目の約7割を占める「通信授業」(テキスト履修科目)は、課題レポートと単位修得試験の両方に合格することで単位修得となります。
4単位のテキストは320ページを目安に作成されており、約180時間の学習時間が基準になっています。
テキスト学習後に課されるレポートは、1設題につき2,000字程度が目安です。
4単位科目は通常2設題、2単位科目は通常1設題です。
課題レポート提出後に受験する単位修得試験は「○○について論じなさい」等の論述方式が基本です(原則として辞書やテキスト、参考書等は参照不可)。
卒業論文は、文学部が必修科目で法学部、経済学部は、選択科目(履修は卒業の要件ではない)となっています。
➡ 法政大学 通信教育部についてさらに詳しく知りたい方はこちら
中央大学 法学部通信教育課程
中央大学 法学部通信教育課程も難易度が高い(単位修得が難しい)通信制大学と言われています。
履修科目の約7割を占める「授業科目単位」(テキスト履修科目)は、課題レポートと科目試験の両方に合格することで単位修得となります。
例えば、「憲法」を単位修得する場合、レポート4課題(1単位につきレポート1課題)を作成・合格し、科目試験に合格することで単位修得となります。
レポートは1課題について2,000字程度でまとめます(手書き・パソコン双方で作成可能)。
レポート学習とスクーリングを受講し、スクーリング試験に合格することで「授業科目単位」と「スクーリング単位」の両方を修得する方法もあります。
なお、2021年度より「卒業論文・総合面接試問」は廃止となりました。
➡ 中央大学 法学部通信教育課程についてさらに詳しく知りたい方はこちら
難易度が低い(単位修得が易しい)通信制大学
通信制大学の中には単位修得率を公表している大学があります。
単位修得率が高いということは「難易度が低い(単位修得が易しい)」通信制大学であると言えます。
そこで、単位修得率が高い通信制大学を3校ご紹介します。
早稲田大学 人間科学部 通信教育課程(eスクール)
早稲田大学 人間科学部 通信教育課程(eスクール)の前教務主任・榊原伸一氏によると、「卒業率は約6割、単位取得率は約9割」だそうです。
eスクールの名の通り、スクーリング以外の科目はeラーニングで履修します。
eラーニングでの学習の進め方は以下の通りです。
① Waseda-netポータルにログインし、インターネットで動画配信される講義を視聴します。
② BBS(電子掲示板)で教員や教育コーチへ質問したり、学生同士で議論しながら学習を進めます。
③ 小テスト受験・課題レポートを提出します。
成績は講義の受講状況や、BBSでの発言、授業の理解度をみるための小テストやレポートによって評価されます。
体育実技や実験・実習を伴う一部の科目でスクーリングが行われますが、科目の履修方法によってはスクーリングなしで卒業することも可能だそうです。
➡ 早稲田大学 人間科学部 通信教育課程(eスクール)についてさらに詳しく知りたい方はこちら
東京未来大学 通信教育課程
東京未来大学 通信教育課程は、単位修得率が87.2%(2022年3月実績)で、卒業率が55.2%(開学から2022年度の累計実績。編入学生を含まず)です。
東京未来大学 通信教育課程の単位修得率が高い理由として3つのポイントが挙げられます。
①課題や単位修得試験が易しい
履修科目の約7割を占める「テキスト学習」の流れは以下の通りです。
①テキスト学習後に中間テスト(WEB試験)を受験。
↓
②中間テストに合格(60点以上で合格)すると、単位修得試験(WEB試験)を受験。
↓
③単位修得試験に合格すると単位修得。
この中間テスト(WEB試験)と単位修得試験(WEB試験)が以下の通り難易度が低めなんです。
※ 履修科目によって「テスト形式」と「レポート形式」に分かれます。
テスト形式 | 正誤選択問題/複数選択問題/空欄穴埋め問題/短文記述問題 etc. |
レポート形式 | Microsoft Word で作成後、大学のeラーニングシステムにアップロードします。レポートは1科目 1,000~1,200字程度にまとめます。 |
②独自の学習システム
東京未来大学 通信教育課程は、「2セメスター・8ターム制」という独自の学習システムを取っています。
「2セメスター・8ターム制」とは、1年を2セメスター(春学期・秋学期)に分け、それぞれを4タームに分割し、短期集中型で着実に単位を修得していく制度のことです。
各ターム(約1カ月)で履修するのは最大2科目です。
各タームのスタートから約2週間後に「中間テスト」(WEB試験)があり、さらに約2週間後に「単位修得試験」(WEB試験)があります。
このように東京未来大学 通信教育課程では各ターム(約1カ月)で確実に単位を積み上げていく方式が取られています。
③学生ひとり1人をマンツーマンサポート
東京未来大学 通信教育課程は、学生1人に専任のキャンパスアドバイザーが付いてサポートしてくれます。
● 履修科目の選び方
● 学習計画のたて方
● 学習の仕方
● テストの受け方
● 学業と生活の両立
● 実習の手続き
など、様々な質問や相談にのってもらえるので、学習を続けやすいのでしょう。
➡ 東京未来大学 通信教育課程についてさらに詳しく知りたい方はこちら
京都芸術大学 通信教育部 芸術教養学科(手のひら芸大)
京都芸術大学 通信教育部 芸術教養学科(手のひら芸大)の特徴は、eラーニングで学習が完結(通学不要)することです。
「テキスト履修科目」は、WEB上で読める電子テキストを読み、課題レポートを作成し、WEBを通して提出します。
その後、単位修得試験(WEB試験)を受験します。
「スクーリング科目」もWEBで受講し、課題レポートをWEBを通して提出します。
➡ 京都芸術大学 通信教育部 芸術教養学科(手のひら芸大)についてさらに詳しく知りたい方はこちら
【関連記事】
卒業率が高い通信制大学
卒業率が高い通信制大学も「難易度が低い(単位が修得しやすい)」と言えます。
難易度が高ければ、高い卒業率を達成することができないはずだからです。
卒業率が高い通信制大学についてもご紹介しておきます。
サイバー大学
サイバー大学は、ソフトバンクグループが設立した通信制大学でeラーニングのみで学習が完結(通学不要)します。
IT総合学部の1学部のみが設置されており、「ビジネスのわかるITエンジニア」または「ITのわかるビジネスパーソン」を養成しています。
サイバー大学の卒業率は、76.0%となっています(修業年限以内での履修を行っている学生の累計卒業率。2021年3月時点。)。
人間総合科学大学 通信制
人間総合科学大学 通信制は、例年80%前後の卒業率(4年次在学者の卒業率)を誇っています。
人間総合科学大学 通信制は、人間科学部 心身健康科学科の1学部1学科が設置されており、「こころ」「からだ」「文化」の3つの領域から人間に多面的にアプローチする教育プログラムです。
卒業率が高い理由としては以下のような点が挙げられます。
①課題が易しい
人間総合科学大学(通信制)は、テキスト履修科目の課題が選択式課題が中心です(課題がレポートの科目もあり)。
②インターネットを最大限に活用!
人間総合科学大学(通信制)は、単位修得試験、スクーリング、レポート提出、教職員との連絡など、多くがインターネット上で行なえます。
卒業に必要なスクーリング単位も全てインターネット授業で修得できます。
③担任教員によるマンツーマンサポート
人間総合科学大学(通信制)は、学生1人に必ず担任教員が付きます。
インターネットで質問や相談はいつでも可能です。
➡ 人間総合科学大学(通信制)についてさらに詳しく知りたい方はこちら
産業能率大学 通信教育課程
産業能率大学 通信教育課程は、入学者の約80%の方が3年次編入学で、3年次編入学生の標準学習期間(2年)での卒業率は72.8%(2023年3月度卒業生)です。
産業能率大学 通信教育課程は、情報マネジメント学部の1学部のみで9コースに分かれています。
経営コース、税務・会計マネジメントコースなど、いずれも学んだ内容を実社会で即活用できるコースばかりです。
3年次編入学生はスクーリング不要で卒業可能となっています。
➡ 産業能率大学 通信教育課程についてさらに詳しく知りたい方はこちら
【関連記事】
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、「通信制大学の難易度を徹底検証」してみました。
難易度が高い(単位修得が難しい)通信制大学の特徴としては以下の点が挙げられます。
①課題レポートの数が多い。しかも文字数が多い。
②単位修得試験が論述式問題。
③卒業論文が必修。
一方、難易度が低い(単位修得が易しい)通信制大学の特徴としては以下の点が挙げられます。
①課題や単位修得試験が選択式問題などで易しい。
②インターネットを最大限活用している。
③卒業論文が選択科目(必修科目でない)
【関連記事】
tsushincollege1.hatenablog.com